休載P4A 【 My happy definition】
第14章 本当の自分(アニメの10話)
「見えたっ、胸の少し下っ」
「もうだめぇ」
私たちの掴まっている力もだんだんとなくなってきている。雪子にいたっては体が浮いたりして、今にも吸い込まれてしまいそうだ。
「うわっ」
「せ、先輩っ!」
ほかのことに気を取られた瞬間に、手が外れた。ドバっと冷や汗に覆われたがすぐに大きな腕に抱きかかえられた。
「あ、ありがとう、巽くん…死んだかと思った…」
手が届きそうなものが近くになく、巽くんも私が何かにつかまろうと探しているのを察したのか、そのままじっとしててくださいと言われてしまった。
「イザナギっ」
悠の声とともにイザナギがシャドウの方へと飛び出し、シャドウの胸のあたりを剣で貫いた。苦しそうなうなり声とともに、だんだんと風が落ち着き徐々に弱まり止まった。
「倒したの、かな」
シャドウが崩れたところに、シャドウのクマくんとペラペラになったクマくんが現れた。
「クマっ」
私も無我夢中で巽くんの腕をつかんだまま駆け寄った。思っていたよりも、クマくんは元気そうだった。というより、今自身がぺらぺらになっているのに気付いたようだった。
「あっ、ごめんね、腕掴んだままだった」
「いいいいや、なんともないっす」
「完二までいいとこどりかよっ」
「今はクマくんでしょ!」
「いでっ」
「クマくんにも抑え込んでいた心があったんだね」
「クマは自分が何者なのか、わからないクマ。
答えなんてないような気がした。
だけどクマは今ここにいるクマっmここで生きているクマよっ!」
「私も一緒だよ」
「りせちゃんっ」
「一緒にこたえ探そう」
「クマは一人じゃない」
クマのシャドウも光り輝き、姿を変えた。コロンと丸い形をしており、クマと似た配色のロボットのようなペルソナだ。
「クマにもペルソナがっ」
「やったねクマくん」
建物を後にし、いつものスタート地点へと戻った。私たちはヘロヘロに疲れているのに、クマくんは意気込んで毛を生え変わらせるとすぐに筋トレを始めた。
「完全復活するまで、期待して待っててほしいクマっ」
「クマくんかっこいい、がんばってね」
「んおおお、ルナちゃんを逆ナンするためにも頑張るクマぁあああ」