休載P4A 【 My happy definition】
第14章 本当の自分(アニメの10話)
「クマくんも悩んでいるんだね」
「ルナちゃんだけクマ!優し~っ」
「みんなも心配しているんだけど、ほかにも心配なことがあるんだよクマさん」
「オヨヨ、そうだったクマか…てっきり忘れられちゃったって」
「そんなことないって!」
「ときどき思い出してた」
千枝と雪子もクマくんを慰めてくれ、ようやく立ち上がってくれた。
「今度逆ナンしてもよい?」
「いいよいいよ!」
「えぇっ」
「雪子、しーっ」
「クマ、久慈川りせを知らないか」
学校へくる前に悠は丸久のおばさんのところへ寄って、なんとかりせちゃんの携帯電話を借りることができたようで、これを手掛かりにクマくんにりせちゃんの居場所を探してもらう。
「ここクマね」
巽くんの時とはまた違った雰囲気の場所だった。いかにも夜のお店というか。入口には”MARUKYU”とピンクのライトで光っていて、ほかに照らすものがないためか、より一層怪しげなものを際立てている。
「気配はビンビンクマよ」
「これって温泉街とかその旅館とかには付き物のやつっ!?」
「へっ!?家にはないからね!!」
「あーくっそ、なんも見えねぇ」
目をこすっている巽くんは、そういえばまだメガネをもらっていないっから霧がすごくてよく回りが見えていないようだ。よくここまで不満も言わずに歩くことができたものだ。
「忘れてた、ハイよーっ」
彼がかけたのは、いつの日かの鼻メガネ。違和感がすごいのだが、雪子にとってはとても似合っているように感じたらしく笑っていた。
「なんで俺だけこんなやつなんだよ!」
「気に入らなかったクマか~」
「当たり前だっ!」
入口で固まっていても何も始まらないので、私たちは中へと進んでいった。建物はきれいだが、なんだかあまり使われていないようなビルみたいで、祝と開店をお祝いしているのかお花がいくつか飾られている。それと一緒にりせちゃんや別の女の子の顔写真も飾られている。
「落ち着かないね」
「うん、少し怖いっていうか、ぞくぞくするような感じ」
「そうかー?俺、ワクワクしてきたわっ」
陽介くんは、というよりもやはりこういった場所は男の子が好きなのかもしれない。悠もそうなのだろうか。