休載P4A 【 My happy definition】
第14章 本当の自分(アニメの10話)
6月23日
0時。
『春から花の女子高生アイドル、りせちーで~す!
今回は、すっごーい企画に挑戦しちゃいますっ。
ス・ト・リップーーーっ!!』
りせちー??マヨナカテレビは改めて、怖い存在だと思う。テレビで見ていたりせちーも、実際に悠たちと追ってちらりと見たりせちゃんも、どちらも全く当てはまらない久慈川りせがテレビには映っている。
もし私も犯人にテレビに入れられてしまったとなると、こう恥ずかしい感じになってしまうのだろうか…雪子もだいぶクマさんとかにネタにされているみたいで、すごい怒るし。
少しだけ自分はこうならなくてよかったと思ってしまった。
ちがうちがう、今はりせちゃんがテレビに入れられてしまったことが重要なんだ。こんな姿、きっと彼女だって見られたくないはず。はやく救出してあげたい。
それにしても、男の子が喜びそうな雰囲気をさらけ出すりせちゃん。彼女の認めたくない自分とは、このマヨナカテレビではよくわからなかった。
24日。翌日、早速私たちはりせちゃん救出のためテレビへと入った。夏服は少し動きやすい。色も白色なので、冬服に比べて明るい気持ちにもなる。
「ルナ、なんか強調しよさげじゃん」
「うん、がんばってはやくりせちゃん助けないとね」
「…録画失敗だった」
「えっマジ。目に焼き付けておいてよかった~」
「先輩ら何してんすか…」
「そういうお前こそ顔赤ぇぞ」
「ねぇ、クマさんが変なの、見て」
雪子に言われて見てみると、クマくんは隅っこで膝をついてうつむいていた。
「みんなクマのこと忘れて楽しそうに…クマ見捨てられたぁ」
「寂しかったの?」
「退屈で卑屈していたクマ」
林間学校などでドタバタし、巽くん救出からは比較的落ち着いていたのでテレビとはご無沙汰していた。知らぬうちにクマくんに寂しい思いをさせてしまっていたのか。申し訳ない。
「クマくんごめんね?わたし、バイト帰りとか顔出すようにするよ」
「ルナちゃんは優しいクマ。でもクマはクマは…」
「なぁ、そんなことより」
「そんなことってひどいクマ!!」
コロコロと右へ左へと行ったり来たりしながらクマくんはぶつぶつと悩みや不安を出している。