休載P4A 【 My happy definition】
第11章 気に食わないこと(6月入る前の話)
奴も抵抗し、テレビにしがみつき僕が押し込もうとするのに耐える。やっぱり男ということもあり、なかなか手ごわい。
「反省しているっ!本当だ!別にルナを使って稼がせようとかなんて!!」
「はぁ??」
「あっ、違うっ、だから、そんなことはもう考えない!だから、やめろぉお」
「お前みたいなのってホント馬鹿だよなぁ。自分からべらべら話しちゃって、よく施設に入れたよな。
もう二度と出てくんな、死ねぇ」
本当にくだらない、ロクなことを考えないやつだ。そうしてこんな奴が野放しされるのか。つくづく世の中が理解できない。
だが、これでもう大丈夫だろう。特にマヨナカテレビに映っていたわけじゃないし。生田目が入れた天城雪子はなぜか助かってしまったようだが、こいつは助かるわけがない。
―――
数日後、僕がテレビに入れたはずのルナは、再び施設に戻されることになったそうだ。
くそっ、どこのどいつだ。邪魔しやがるのは。気に食わない。せっかく僕がルナちゃんを助けてやったのに。また怖がっちゃうじゃないかっ。
堂島さんにきたところ、あいつにはルナちゃんに一定期間だが近づくのを法的に禁止させることができたそうで、もし今度また奴から近づこうとすれば罰することもできると。
そんなんじゃ甘すぎる。だから僕が殺してやろうとしたっていうのに。
「くそぉおっ!!」
適当に手に届く位置にあった空き缶をぶん投げげる。なぜこうも自分は上手くいかないのか。
それに、あの堂島さんの甥っ子。すっかりルナちゃんと仲良くなっていないか。あそこの位置は僕の位置だったはずだ。
本当に気に食わないことばかりだ。
ふん、どこのどいつか知らんが僕と同じテレビの中の世界を知っているのがほかにもいるらしい。何か面白いことになればいいのだが。
だんだんといら立ちも落ち着き、おとなしくルナちゃんからもらったキャベツの炒め物を食べた。
こんど会うときにでも、大量になってきたタッパー返さなくちゃ。