休載P4A 【 My happy definition】
第10章 熱帯天国(アニメの7話)
奥へとどんどん進むにつれ、湯気がすごいことに。クマさんが先導してくれてそこまで不自由することなくたどり着いた。
ただ、たどり着いたのは、明らかにやばい予感しかしない部屋。扉にはでかでかと、”おいでませ 熱帯天国”と殴り書きされている。
「俺、入りたくねーよ」
「私もちょっと触りたくないっていうか」
しーんと、みんな立ちすくんでいるとクマさんに「なんで扉開けないクマ」と言われてしまい、ここは男の子に任せた。
ぐいぐい2人を千枝たちと一緒に押して、扉を開けるとなんと巽くんのシャドウに馬乗りになっている巽くんがいた。
「「ホラヤッパリー」」
「は、はげしいね」
とても巽くんのシャドウは嫌がっている。そして巽くんが私たちに気づいた。
「あーその、助けに来た」
「ああん?なんだそのやる気のないトーン」
「邪魔はさせないよ!ふんっ!」
巽くんシャドウがポーズを決めると、真ん中に道を作るように左右にある大きな湯船から液体があふれ出てきた。
「え、うわっ」
「千枝ッ」
「あ、ちょっと雪子、ひゃあ」
転んだ千枝を助けようとした雪子も滑ってしまったようで、雪子から延ばされた手を私も掴めば一緒に転んでしまった。妙にぬるぬるとしっとりする触感。
「うわぁ、ぬるぬるすぎ。足気持ち悪いよー」
制服だったため、ぺったりとスカートが肌にくっつき、靴下も濡れてしまって気持ち悪い。そして滑ってしまい全然起き上がれない。千枝と雪子も同じみたい。
「鳴上ッ録画できるもん持ってないか!」
「くっ、無いぃ!!」
私たちが動きにくく苦戦していると、巽くんシャドウが巽くんを挑発するような本音を言い始めた。
「女は嫌いだ。絵をかいたり裁縫すると、みんな男のくせに気持ち悪いって言ってさ。
男のくせに、男のくせに、男のくせにって、じゃあ男らしいって何なんだ?
女は怖いよなぁ。男のほうがいい。男なら男のくせにって言わないもんな」
「ちがうっ」
「違わない。君は僕、僕は君だよ」
「よせ!」
「てめぇみたいなもんが、俺なもんかよ!!」
「僕は君、キミさぁあああ!
我は影、影は真なる我」
悠の静止はむなしく、巽くんのシャドウはムキムキの大きな体をし両手には♂のマークのオブジェを手に持ったシャドウになった。さらに横には2体のつるつるした巨漢もいる。