休載P4A 【 My happy definition】
第10章 熱帯天国(アニメの7話)
「あれ、どうしたの?」
染物屋を出たすぐのところで、4人は向かい合って話している。こんな出てすぐのところに密集しているなんて想像していなかったので少し驚いたが、みんなが注目しているものを悠が見せてくれた。
「えぇ、かわいいキーホルダー!うさぎだね」
「これ、巽完二が作ったって」
「すごい!いいな、私も教えてほしいなぁ」
教えてもらえれば、今度菜々子と時間あるときにでも作って、お人形遊びなんかしたい。と、幸せな時間を想像した後に気づいたのは、巽くんの見た目ときっと趣味であろうこのかわいいお人形。すごいギャップを感じてしまう。
「意外過ぎるよな」
固まっている私に陽介くんが声をかけてくれ、我に返る。
「みんな、いろいろあるよな」
「そうだよね、これも巽くんなんだ」
巽くんは困っていた少年に新しく2つのストラップを作り、プレゼントした。そのお礼にとここに訪れた彼にこのストラップを借りて、クマに居場所を聞いてみることに。
ジュネスへ戻りエレベーターに向かうと、昨日の青い帽子の男の子がいた。向こうも気づいたようでこちらに寄ってきた。
「またお会いしましたね。ご存知ですか?巽くんが行方をくらましたこと」
「あぁ」
「ところでお宅、昨日巽完二と何を話してたんだ」
「なぜ、そのようなことを聞くんですか」
淡々と話す少年に質問をした陽介くんはたじろいてしまった。
「まぁ、いいでしょう。聞いたといっても最近のことを聞いたにすぎません」
「ただの世間話か~」
「はい。ただ何か彼の様子が少し変だったのが気になりますね」
「巽くんが、ヘン?」
「ええ、だからそのことを巽くんに正直に話したのですが、そしたらずいぶん顔色を変えていましたよ」
巽くんはなにか気になることでもあったのだろうか。私たちが後をつけていたのにも、素早く気付いたような気がする。周りを警戒していたのだろうか。
「人は見かけで判断出来ません。彼は彼なりに何かコンプレックスがあるのでしょう」