休載P4A 【 My happy definition】
第10章 熱帯天国(アニメの7話)
クマにもらったラベンダー色のメガネをかけると、さっきまであった霧がすべて晴れて見えた。霧が晴れたところで、すこし不気味なことには変わらないが。
「そうそう、巽完二がどこにいるかしらないか、クマ?」
「オヨヨー誰かいる気配は感じるけど、どこにいるかはさっぱりだクマ」
なんだか、クマは悩みがあるようで考えがごちゃごちゃしてしまい、巽くんのことまではわからない、ような状態らしい。何か助けになればいいと声をかけようにも、クマさんは自分のことでいっぱいみたい。
「あっ、何かヒントがあればいけるかも」
「ヒント?」
「なにか探したい人の匂いがついたものとかないかクマ」
クマくんのいう、巽くんの匂いのついたものを探しに、一度テレビの外へと戻ることになった。悠と陽介くんは巽くんの救出に抵抗があるようで、不思議に思う。自分のシャドウに襲われるのは、危ないと思うし何より1人で立ち向かえるような相手ではない。私の力が巽くえーん救出の役に立ってくれればいいのだが。
みんなで話し合った結果、まずは巽くんの実家のお店に行くことに。おばさんに何か手掛かりをもらえるといいのだけれども。
「ごめんなさい、あの子昨日から帰ってなくって。一応、警察に届けておいたのだけど。
黙っていなくなることはあったけど、帰ってこないなんて初めてなの」
「えー意外。夜通しケンカとかよくやってるのかと思ってた」
「おい、里中空気読めよ…」
「ふふっいいのよ、前もバイクに乗った子たちとケンカしちゃって。だけど、これは私のせいなのよ。
私がしばらく夜にうるさくて眠れなかったのを気にして、怒っちゃったの」
「1人で、すごいっ」
「アグレッシブな親孝行…」
「またお邪魔してしまって、お時間頂きありがとうございました」
「あの子のこと、気にかけてくれてありがとう。
たしかあなた、夜桜さんのところの」
「はい、そうですが」
「ううん、立派に多き育ったのね。うれしいわ。よくあなたがあなたのお母さんと幼稚園に通うのを見てたの。大きくなった姿を見れてよかったわ」
「あ、ありがとうございます」
小さなころの私を覚えてくれている人がいた。巽くんのおばさんは特にあの事件のことなんか気にせず、私に言葉をかけてくれて、失礼かもしれないが理想の祖母として想像してし合った。