休載P4A 【 My happy definition】
第2章 梅の花が咲く頃 (まだ彼がくる前の話)
菜々子とテレビを見ていると、玄関からガチャと扉の開く音がした。あっと小さく声をあげ菜々子はダッシュで向かうのを追いかけた。
「おかえりなさーい!あーー」
「おかえりなさい、足立さんも一緒なんだ」
「おう、ただいま。こいつがうるさいから連れてきた。
ルナ、悪いが足立も一緒でいいか?」
晩御飯のことだろうとすぐわかった。にこりと頷き、もう1人分の座布団を用意してから菜々子と作った晩御飯を4人分お皿によそった。
「やったー ルナちゃんのご飯が食べれる!!」
「菜々子も一緒に作ったんだよ!!」
「おー偉いな菜々子は!足立に食べさせるのはもったいない」
「えええーー堂島さんそんなこと言わないでくださいよ!」
人が1人増えるだけでこんなに食卓が賑やかになる。菜々子にもテーブルまで運ぶのを手伝ってもらい、4人で手を合わせて頂いますをした。
お父さんも足立さんも美味しいと言いながら食べてくれて、やっぱり喜ばれると作りがいがある。
「そうだ、明日お父さんのお弁当に入れようと思ってたきんぴらごぼうがまだあるので、足立さん持って帰ります?いらないかな?」
「ほんと!?もらうもらう!明日まで食べちゃわないよう待ってなきゃいけないのがもったいないよ!」
「じゃあ、タッパーに用意しておきますね。いつ食べてもいいけど、偏った食事しないでくださいよー」
足立さんはお父さんがしばらく前からたまに連れてくる部下の人。ひょうひょうとしており、刑事としてみるとお父さんと比べてだいぶ頼りなく感じる。そんな彼はおしゃべりで面白いところもあり、私と菜々子はすぐに懐いた。そしていつも料理を美味しい美味しいと喜んでくれる。
お父さんのお弁当は毎日作っているわけではないが、作った時にタイミングが合った時には、以前にも足立さんの分も用意している。
「それじゃー、お邪魔しました!!
ルナちゃん、きんぴらありがとねー!
美味しくいただきます!じゃねー
菜々子ちゃんもバイバイ!」
お酒も入っていてだいぶ出来上がっている足立さんは、ふらふらとそのまま出て行った。もういつものことなので心配もないだろう。もしかすると明日は遅刻してお父さんに怒られるかもしれないと、想像してしまいおもわず笑ってしまった。