休載P4A 【 My happy definition】
第9章 おにいちゃん(アニメの6話)
「菜々子、へいきだよ。
お母さんいなくても、菜々子にはお父さん、お姉ちゃんに…お、お兄ちゃんもいるし。
今日はジュネスにこれたし、すごいたのしいよ!」
千枝や雪子、陽介くんとみんな菜々子とたくさん遊ぶと約束してくれた。菜々子はまだ小さな子供、って思っていたけれど違うのかもしれない。私が考えてから話そうとしたのを、思ったままの気持ちを素直に答えてくれた。
変に飾ったものがなく、まっすぐな純粋な気持ちがみんなの心を打ちぬいた。菜々子は強い。
「みんな遊んでくれるって、やったね菜々子」
「うん!お姉ちゃんもいつもありがとうっ」
「私もありがとうだよ」
「おんなじだね!」
そのあとは、みんなでお祭りとか行きたいこと、やりたいことを話してあっという間に時間が過ぎていった。
「千枝お姉ちゃん、雪子お姉ちゃん、よーすけお兄ちゃん、ばいばい!」
「菜々子ちゃんばいばいっ」
「また遊ぼうね」
「おう、じゃあな」
「お友達たくさんできたね」
「うん!お兄ちゃんとお姉ちゃんのおかげ。菜々子すごくうれしいよ」
「よし、3人で手つないで帰るか」
「ほんと!?菜々子まん中がいい!お兄ちゃんとお姉ちゃんとつなげるもん」
菜々子をこうして真ん中に3人で手をつなぐのはいつぶりなんだろう。懐かしい気持ちもあるが、またこうして歩けることが私もうれしい。夕日に照らされる菜々子の笑顔がまぶしいけれど、しっかりと笑顔を記憶に焼き付けた。でもきっと、あとで写真撮っておけばよかったと後悔しそうだ。
―――
ゴールデンウイークもそろそろ終わりを迎える。後半は悠が菜々子を見ていてくれたおかげでバイトに励むことができたが、食品売り場も人でごった返していた。なによりお寿司を袋に入れるときの緊張感が慣れないまま終わった。想像以上に崩れそうになり、何度ヒヤッとしたことか。
そして、今日はお父さんが早めに帰ってこれるみたいで、お弁当を買ってくるので晩御飯は準備しなくていいと連絡が入っていた。お言葉に甘えて、菜々子と一緒にりせちーの出ているバラエティ番組を見ていた。何やっててもかわいい。さすがアイドル。