休載P4A 【 My happy definition】
第9章 おにいちゃん(アニメの6話)
5月3日
「おはよう、菜々子ーっ」
「おはよーっ」
「そうだ、今日は私が髪の毛結んであげるよ」
「うれしい!このうさぎさんがいいな」
「じゃああっち向いて座ってね」
菜々子が持ってきた大きなうさぎの飾りがついたヘアゴムを左手にはめて、優しく髪を撫でればぷるるっと震えてくすぐったいのかもしれない。
「ほら、できたよ」
「ありがとう!にあうかな?」
「うん、菜々子すっごくかわいい」
「これ、おねえちゃんがプレゼントしてくれたんだもんね、菜々子おぼえてるよ」
たしか、ジュネスでバイトを始めたばかりのころに、菜々子にぴったりと思い買ってみたものだ。自分では縛りにくいみたいで、ほとんど新品状態。でも私は菜々子の勉強机に飾ってあったのを知っている。
「お、菜々子似合ってる」
「あ、ありがとう」
悠にも褒めてもらい恥ずかしかったのか、気を紛らわそうとしてテレビをつけた菜々子。
ピンポ―ン
家のチャイムが鳴る。荷物なのかなと立ち上がろうとすると、悠が手で制して代わりに玄関に出てくれた。
「だれかな?」
「宅配の人じゃないのかな」
「菜々子も見てくる」
「ういーーっす、今日ヒマ?」
この声は、千枝だ。珍しいことに千枝が遊びに来たようだ。私も菜々子の後を追うと、千枝が菜々子と話をしていた。
「あなたが菜々子ちゃん?よかったら、菜々子ちゃんも一緒に来る?」
菜々子が困ったように私と悠を見上げる。急に初めて会う人に話しかけられて緊張しているのも原因かもしれない。
「一緒にいこう」
「いいの?」
「もっちろーん!いいに決まってんじゃん。
ルナももちろん、一緒にね!」
「おねえちゃんも!?やったー!」
先に雪子がバイト中の陽介くんとジュネスで待っているみたいなので、急いで向かうことに。途中、うさぎの飾りを千枝にも褒めてもらい、菜々子はご機嫌で千枝には慣れてくれたみたい。
「千枝ちゃんありがとうっ」
「菜々子ちゃん良い子すぎっ」
「でしょー自慢の妹だよっ」
そういうと菜々子とつないでいる手が少し力強く握り返してくれた。