休載P4A 【 My happy definition】
第8章 (私の話②)
「ク、クソォ・・・グハッ」
「ホーンとバカみたい」
ナイフで刺されたシャドウの父は、そのまま霧に紛れるように消えてなくなった。
「貴女は、わたし??」
「後悔してたでしょ、どうしてあんな父親でもないクズを庇ったこと。ね?どうなの?お母さんを殺したやつだよ?」
「ルナちゃんの、シャドウ?」
制服姿の私がどんどん近づいてくる。それに合わせ、私は後ずさることしかできなかった。誰かにぶつかったところで、下がるのを忘れ、私に見入ってしまった。
「こ、後悔なんて、わたしは」
「嘘つき。お母さんのため?お母さん、あんな奴のこと庇ってほしいなんて言ってた??むしろ殺してほしいんじゃないの!?憎い憎い憎いあんなやつなんて!!」
「そんなこと言わないで!」
「よせ!否定しちゃダメだ!」
悠くんや千枝達の制止する声が遠くから聞こえた気がしたが、目の前の自分から逃げられなかった。こんな時まで私は動けない、さっきの勇気はどこかへ飛ばされてしまった。
「今度はルナの偽物なのか!!まだ俺をおちょくる気なのか!!」
後ろには父が立っていた。父も先程のことがあって怖いのか、私の影に隠れたまま文句を言う。
「私の後ろで隠れてないで、出てきなさいよ!ビビリな私に変わってお前を殺してやる!!」
シャドウに突き刺したナイフを掲げ、こちらへと私が突進してくる。すると、勢いよく後ろから私は突き飛ばされ、向かってくる私とぶつかってしまった。だが痛みなどはなく、私によって受け止められていた。
「ねぇ、まだ許せるの?ナイフ持った私に、アンタはクズに押し出されたんだよ?アンタなんて死んだってアイツはどうだっていいんだよ?」
「ダメよ、そんな、殺しちゃ」
「ダメダメダメって、いつまでそうなの??遼太郎さんにだっていつか怒られて、殺されちゃうかもしれないんだよ?悠くんだって、千枝ってみんな、みーんな怒ったら何するかわからないでしょ?やられる前にヤんなきゃでしょ??
ビビリすぎじゃない???」
「や、やめてよ、そんなことない。私はいい子にしてるからっ」
掴まれた腕がギリギリと痛みが走りだす。