休載P4A 【 My happy definition】
第8章 (私の話②)
「し、仕方なかったんだよ!アイツは口答えばっかりで!無駄に金を使いやがって!!!俺の金なんだぞ!それにルナのことは殺さなかっただろ!!」
「仕方ない?無駄遣い?殺さなかった?お前は何言ってんだ、恥ずかしい俺。アイツはいつもルナの面倒を見て、俺の酒を買って来て、日中は確かパートで働いていたはずだ」
「知ったような口きくな!!偽物が!!!」
「偽物、ね。
そうさ!!俺は俺になれなかったいらない感情なんだもんな!?だったら、お前を殺して俺はルナ一緒になる!!!殺してやるぅうううう!!!!」
「な、何よこれ、おとうさ、ん?」
父と父が口論をしていたかと思えば、突然金の瞳の父が怪物へと姿を変えた。怪物、というよりは寂しそうなブリキのおもちゃにも見える。
「アイツのように、お前もぐちゃぐちゃに叩きつぶして滅多刺しにしてやろう!!」
「や、やめろぉおお」
父が必死にブリキの父から逃げまどうが、父も訳がわからないのか転んでそのまま動けなくなっている。私は一体どうすればいいのか。父のことは憎い、だけどここにいればほんとうに殺されてしまいそうだ。
「お母さん、どうしよ、どうすればいいの」
早紀先輩から貰った、お母さんの忘れていったキーホルダーが頭をよぎった。
「たしか、お父さんから貰ったんだっけ」
いつ貰ったのかまでは思い出せないが、ここの夜桜家が思い出させてくれた、そんな気がする。ここはお母さんと思い出の場所。お母さんは最後まで私と、父のことを思っていてくれたのかもしれない。
「おい!!ボケってしてないで、助けろ!おい!!!!」
ブリキの父が怪しげな刃物を構えていた。殺されちゃう、お母さん!!
「やめて!!もう、誰も殺さないで・・」
「悲しい、悲しいぞ!!お前まで馬鹿になったのか!!家族じゃないのか!!!」
「家族よ!!血の繋がった、最低だけど、家族、なのよ」
「ほら!!!ルナが許してくれた!!だから偽物のお前なんか引っ込んでろ!!」