休載P4A 【 My happy definition】
第17章 お出かけ(オリジナル)
「晴れてよかったね」
「うん!イルカさんのショーがみれるといいなー」
「あはは、菜々子ちゃんイルカショーは屋内だから雨が降ったってやるんだよ」
雲一つなく晴れていた。私たちは結局車で行くことになり、行きはお父さんが運転し帰りは足立さんが運転してくれることになっている。後ろには菜々子を真ん中に悠と足立さんが座っているか、悠は眠っている。
悠はバイトを掛け持ちにしているらしく、夜も帰りが遅い。菜々子が最近寂しそうにしているから、悠に足立さん、お父さんとのお出かけは本当に楽しみだ。
「お父さん、コーヒーあけといたよ」
「助かる」
缶コーヒーを開けて置いとくと、すぐに飲まれてしまった。
「喉乾いてたの?」
「たまには息抜きもいいもんだなって、柄にもなく浮かれてるかもしれんな」
「それならよかった。お父さんも足立さんも忙しいもんね・・・家でゆっくりするのもいいかもしれないけど、みんなでお出かけもいいね。・・・まだ着かないのかな」
「ルナまでもか、さっき菜々子にも行ったがもうしばらくかかるぞ」
「えへへ」
窓から過ぎ去って行く木々を見ていると、本当に目的にまで着くのだろうかと、事件のことと重なってしまい少しだけども不安になってしまった。
お父さんには菜々子の真似をしてふざけている程度にしか思われていないようで安心したが、この真っ青な空を見てしまうといい天気なのに途方もないような不安が出てきてしまう。
「はい、おねーちゃんもあめ食べよ?あだちさんがくれたの!
あめなのにつめたいの!」
菜々子の手には夏になるとよく見かける冷んやりする飴玉があった。青いパッケージに泡の模様が描かれている。
「うん、食べる!足立さんありがとう」
「いやいや、なんかもうちょっと買ってこればよかったね」
と後ろではバリバリとスナック菓子を頬張る足立さんの姿があった。運転に集中していたお父さんも気づいたのかバックミラーを凝視して足立さんを睨みつけている。
「足立ーっ座席は汚すんじゃねぇぞ」
「ええっ、はい、わかりましたっ」
「お父さん、車の手入れはいつも大事にしているもんね」
「先に言ってくださいよ、堂島さんー」