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御伽アンダンテ【HQ】【裏】

第13章 暁ばかり憂きものはなし


「ところで、クリスマスは、何かしたいか?」
「……え?」
部の連中には散々今までからかわれた。
何をしたか、デートはどこに行ったか、はたまた下世話なことまで首を突っ込まれ、口を挟まれた。
どんなに忙しくても、その日だけは空けろとかなりキツく言われた。
過去の記憶を遡るが、親に何かを貰った記憶と、鶏肉を食べた記憶しかない。
たんぱく質をしっかり取る日だと勘違いしていた、と言っても過言ではない。
「えっと……何、するのかな……?」
も寂しい生活を今まで送っていたのだろう、そういう行事には疎いようだ。
もしかしたら、あまり心配しなくても良かったのかもしれない。
12月末ともなると、雪も大分積もるだろう。
寒いなか1日連れ回すのも気が引ける。
「鶏肉を食べる」
端的にそう言うと、は納得したように笑う。
「チキン屋さんは、大もうけだ…!」
「前にいた所では、どんなだったんだ?」
「ほとんど、病院にいたんだけど……、あ、小児科の子達と、パーティー、したよ!
プレゼント交換して…、あと、ケーキ食べて…。
食べられない子は、かわりのお菓子が出て…」
大人数ならその手があったなと納得した。
結局、出掛けるのは諦め、自宅で何かをすることにした。
はケーキを焼いてくれるらしい。
二人でいつも通り指切りをし、手を繋いで帰宅した。

だが、初めてそれは裏切られることになる。
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