第13章 暁ばかり憂きものはなし
当日の直前、は体調を崩した。
立てない程になり、入院用の荷物を作り、慌ててタクシーを呼んで救急病棟に向かう。
ありがたいことに、いつも掛かり付け医がたまたまおり、すぐに検査をして病室を作って貰った。
また、先生のお陰で、俺の顔だけで、未成年だとか他人だとか手続きだとかは無視出来た。
間接照明だけが灯された待合室で一時間ほど待った頃、いつもの童顔な先生が駆けつけた。
「先生、どうなんですか?」
冷静に聞くが、手のひらは汗でぐっしょりで、指先は氷のように冷たかった。
この前までは、元気だったのに、俺が無理をさせたせいかもしれないと、本当に落ち込んだ。
「こっちに」
「はい」
先生はよくわからない書類を広げ、俺でもわかるように簡単に説明してくれた。
この前まではここまでよかった、今はこのくらい、平均値はここ、と説明してもらう。
残念ながら、もう手は打てない。
言葉にはされなかったが、そう言いたかったのは、顔を見てすぐにわかった。