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御伽アンダンテ【HQ】【裏】

第6章 水没した夢幻城


ふつふつと怒りがこみ上げ、初めてその件に関してに聞いてみる。
「答えられる範囲で構わない」
一瞬間を置かれたが、
「いつかは、話さないといけないから…」
と、その小さな声に力を込めた。
「…私のお父さん、昔ながらのお家で……。
未だに、愛人とか多妻とかやってるようなところだよ?
でも、跡取りは、男性って、決まってるから……」
「それだけで、あんなところに?」
「私は…本妻との子供じゃないんだって…。
でも、あの人は、世継ぎを産めないって、引き取られて……」
少し呼吸が荒くなるのに気付く。
トラウマ。
家庭内でどれだけ苦しい生活をしていたのか。
そのただでさえ脆い身体に、どれだけの負担があったのか。
想像に容易かった。
「…っ、それで、でも、私は後継者には出来ないからって、私の産みの親に、こっちに、連れてこられたの、だけど…」
背中をさすると、辿々しく経緯を語ってくれる。
「一緒には、住みたくないって」
「それで、明日からどうするんだ?」
「……一回、会わないと……っ」
そう言うと、は慌てて布団から出る。
踞って身体を落ち着かせようと、荒く息をしていた。
「イヤな話をしたな、悪かった…」
「ううん、…重要な問題、だもの…。
でも、寂しいな……。
どんなにボロでも、隣の人がお片付け苦手な人でも、あそこは…かけがえのない、私のお城だったの…。
誰にも、怒られないし、ご飯も…安全な物が食べられるし…、好きだったの…」
その言葉で、どれだけ過酷な生活か伺えた。
安息なくその地で、その身体で、1人膝を抱えて過ごしてきたのだろう。
布団で子猫のように丸まる背中を撫で、朝まで眠れなかった。
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