第4章 御伽草
はか細く笑うと、またノートに目をおとした。
あの繊細な印象は、彼女の生命力にすら結び付いているのか。
この、脆くて、壊れそうな存在を、守りきることが出来ないだろうか。
そんなことを、ずっと考えてしまう。
「ごめんね…?聞きたくなかったよね…」
俺の不穏を感じたのか、が不安そうにした。
「お前を守ることを、考えていた」
「……牛島くんが言うと…出来そうで、怖い…」
「怖い?」
「生きるってこと、あんまり、考えたことなかったから。
生きた先に、何があるかな…?
私…ちゃんと、自分と向き合えるかな?
この、毎日の、苦しみに、耐えられるのかな?
こんな弱い身体と心で、働けるのかな?
そんなこと、考えると、終わりを考える方が…」
「止めろ」
「……ごめんなさい」
「は、誰より美しい。
苦しいなら俺に言えばいい。
働けないのなら俺が養う。
お前が自分のことを嫌いでも、俺は、好きだ」
「…っ!!」
改めて、想いを全てぶつけてみる。
顔を赤くするは、何度見ても美しい。
繊細なガラス細工に、華やかな色ガラスが入るようだ。
キラキラと乱反射して、それは輝く。
「、好きだ」
細すぎる指を、己のゴツい指に絡める。
あまりにも違う肉質に、ぐらぐらと頭が揺らぐ。
「…牛島くん…」
「なんだ」
「ありがとう…」
初めて、目を反らさずに言われた。
色素の薄い瞳がキラキラと輝く。
それを縁取る長い睫毛。
目を奪われる、とは、こういうものなのか。