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蒼海の愛し子

第5章 赤髪襲来


次の朝。


どっかーん


「?!」

自分に宛がわれた部屋で眠っていたシアンは爆音という何とも心臓に悪い目覚まし時計で目が覚めた。

「何なんだ一体...?くそっ」
「おいシアン、起きてるか?」
「...ん?サッチか?」

ドアを開ければ、そこにはフランスパン...じゃなかった、リーゼントの男――サッチ――がいた。

「おはよーサッチ。んで、今の爆音なんだ?」
「赤髪だよ。ったく、朝からご苦労なこって」
「誰だよ赤髪って」
「俺達と同じ海賊。親父と同じ四皇って呼ばれてる」
「仲悪ぃのか?」
「...悪くはねぇな」
「じゃあ何で目覚まし時計が爆発音なんだ」
「赤髪と親父がやりあってるから」
「...はい?」
「赤髪と親父がやりあってるから」
「...」

とたんに無言になるシアン。何となく『ブチッ』という音が聴こえたのは気のせいだと信じたい。

「...あのぅ、シアンさん?」
「......サッチ、」
「は、はいぃ!」

ドスの効いた声にサッチは震え上がった。

「二人、何処にいる?」
「か、甲板だ」
「わかった。ありがとう」

そう言って甲板へと歩き出すシアン。
その後ろ姿に、見えてはいけないモノが見えてしまったと後にサッチは語る。








甲板に出た瞬間、肌がピリついた。
日焼けとかではない、寒気のような、武者震いのようなものだった。

「おうシアン、起きた、か...」

シアンに気づいたマルコが声をかけるも、それはだんだんとフェードアウトしていく。
それだけシアンの纏う雰囲気は恐ろしかったのだ。

「...ペリッパー」
「ペリ?」(ん?)
「存分に殺ってこい」
「おい、ちょっと待てよい!」

側に来たペリッパーに物騒なことを告げるシアン。マルコが止めようとするが時すでに遅く。
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