第7章 邂逅
「うぇ?!は?ちょ、マルコ降ろせぇぇぇぇ!クザン、ヘーループー!」
「サニサニャ~!」(クザンバイバ~イ!)
「...あらら、海賊に助け求められたのって初めてだよオジサン」
呆れたような表情で見送ったクザン。
しかし、彼女達が見えなくなるとすぐにその顔は真剣な物になる。
「...ほんとにそっくりだったな......ありゃ間違えられても仕方ない、が...海賊、しかも白髭海賊団とつるんでいる以上、要注意だな」
クザンはボリボリと頭をかくと、岩影に隠してあった自転車に跨がった。
「まぁあれだ、うん......」
しばらく自転車を漕ぐと、
「忘れた、もういいや」
と呟いた。
一方その頃。
「何すんだよマルコ!」
「この島に海軍大将がいるっていう情報を知ってねぃ...慌てて他のクルーを呼び戻してたんだよい」
「なぁ、海軍大将ってそんなにやべぇのか?」
「......海軍大将ってのは海軍の最高戦力って奴だ。実力も桁違いの化け物揃いだ」
マルコに肩を掴まれたまま空を飛ぶシアン。眼下には小さくモビー・ディック号が見える。
「...そー言えばさ、クザン、やっぱり手配書のアイツ知ってたわ」
「手配書のって、確かお前の...」
「うん............」
「............トリトン、うちの双子の兄貴だよ」
「...つまり、お前の兄貴も何らかの理由でこの世界に来た、そして、」
「多分、保護されたのが海軍だったんだろうな...クザンも、トリトンと親しかったみてぇだし」
「こりゃ厄介だねぇぃ......」
まさか、自分の片割れがこの世界にいたとは。
彼は何故、この世界にいるのだろう。
そして、指名手配にされた彼は一体海軍で何をやらかしたのか。
知っているのは、当事者達のみ。
「ぜってぇ見つける。何でこの世界にいんのか、何やらかしたのか全部吐かせる............んで、」
――――絶対、一緒に帰るんだ――――
シアンの海色の瞳には、覚悟が浮かんでいた。