第6章 規則なんて・・・
郁翔side
「郁翔さん!待ってください!」
「賢人様?」
走って追いかけてきたのは賢人様だった。
「蓮の事は任せてください。けど、あくまでも親友としてです。執事として蓮を守る事が出来るのはあなたしかいません。」
「しかし、私達の関係はそれ以上になりかねません。それは規則違反。私はいてはいけないのです。」
「そんな事は分かってます。恋をしてはいけない事くらい。」
「だったら・・・」
「でも貴方は好きな人が悲しんでいる姿を放っておけるんですか?」
っ!
蓮様が悲しんでいる姿・・・
放ってはおけない。
でも規則違反をするのはやっぱり・・・
「規則ってそんなに大事ですか?」
「え?」
「俺、正直、規則なんて無視していいと思いますよ。まぁ、法律に関わることはなんとも言えませんが・・・恋愛って自由じゃないですか。好きなら好きでいいと思います。好きになった人がたまたま主人だった。それじゃだめですか?」
「賢人様・・・ありがとうございます。」
俺は再び蓮様のいる部屋に戻る。
部屋を覗くと蓮様は床に座ったままだった。
蓮様の前に片膝立ちで屈む。
「蓮様、私は貴方を愛しています。それでも貴方は私をまた執事として迎え入れてくれますか?」
「なに言ってんだ・・・最初からそのつもりだ。」