第6章 規則なんて・・・
郁翔side
あれから西園寺家へ戻り、蓮様の状況を伝えた。
そして、自らの口から蓮様の執事になる事を頼んだ。
勿論、初めはダメだと断られた。
ただ、西園寺家を信頼しているのは事実であり、お仕えしたいのも本心だ。
裏切った事も全て反省している。
何度も断られたが、蓮様が退院し、一緒に西園寺様に話した。
それでも拒否されたが、流石に実の息子の願いは放っておけなかったのか、許可をもらった。
蓮様は本当に両親に愛されている。
俺も小さい頃は両親に愛されていたと思う。
もうこの世にはいないが、今でも両親は何処からか見守ってくれていると信じている。
「蓮様、起きてください。遅刻します。」
今日も前と変わらない日常が始まる。
「うーん・・・もうちょっと・・・」
「・・・蓮様・・・いい加減に・・・」
バサッ!
「うわー!」
ドシン!
「してください。」
布団を勢いよく引っ張り、蓮様がベッドから転げ落ちる。
「いって・・・あのな・・・もう少し起こし方をだな!」
「起きない貴方が悪いです。ほら、早くしてください。」
「・・・付き合ってくれたら準備する。」
「駄目です。まだ寝ぼけてるんですか?」
「起きてるよ!」
蓮様が渋々準備を始める。
「蓮様、なぜ、私にもう借金が無いことを?」
「今更その話か?」
「はい。」
「あいつらが笑いながら話してるのが聞こえたからだよ。それだけ。お前には伝えておかないとって思ってな。余計なお世話だったかよ。」
「いえ。ありがとうございます。おかげで今こうやってあなたの側にいられるのですから。」
「そうかよ。」
「はい。」
「・・・それより飯。」
「今お持ちします。」