第6章 規則なんて・・・
蓮side
目が覚めるとそこは白い天井と白いカーテンのある部屋だった。
俺の家ではない。
腹の上に若干の重みがあった。
そっと見ると郁翔が俺の手を握り眠っていた。
クマも出来ている。
ずっとここにいたのか?
どのくらいの月日がたった?
郁翔の頭を触る。
ふわふわしている。
こんなに近くで郁翔を感じたのは初めてだ。
「蓮様?・・・目が覚めたんですね。」
「うん。何日俺はここに?」
「1週間くらいですかね。」
「・・・ずっとお前はここに?」
「はい。側でお守りしていました。」
「そっか・・・」
コイツは俺が言った事覚えてるのか?
俺も好きだって。
「なぁ。お前はこれからどうするんだ?」
「・・・まだ決めてません。」
「・・・あのさ、また・・・」
郁翔に話そうとすると、入口付近からバサッと何かが落ちる音がした。
花?
「蓮っ!蓮ー!!」
「賢人!?」
賢人が飛びかかってきた。
「良かった!生きてる!!」
「生きてるけど・・・」
「ごめん!やっぱりあの時付いていけば・・・ごめん!」
「大丈夫だ。俺が来なくていいって言ったんだし。」
よく見たら俺、傷だらけだ。
頭にも包帯巻いてるし。
賢人と話していると、郁翔が立ち上がりそっと微笑みかけ部屋を出ようとした。
「郁翔!待て!っ!」
ドスッ!
追いかけようと、身体を動かすとベッドから転げ落ちてしまった。
「蓮様・・・何をしているのですか。安静にしていてください。まだ動けないのですから。」
「う、動く!こんな傷!」
銃で撃たれた足が痛む。
力が入らない。
自力で立ち上がろうとするも、立てない。
「蓮様、無理しないでください。賢人様、蓮様をよろしくお願いします。」
「俺ですか?・・・」
「私はこれで。」
「まっ待て!郁翔!これは命令だ!主人の言うこと聞けよ!」
「もう貴方の執事ではありません。」
そうだ・・・執事辞めたんだ。
それに俺はあいつに告白した、アイツも俺に告白して裏切った。
執事として許されるわけがない。
わかってる・・・
「郁翔・・・待ってくれよ。俺はお前がいなきゃ駄目なんだ。」
「蓮・・・」
賢人が俺を残したまま、部屋を走り出て行った。