第1章 俺の執事
蓮side
「蓮様?何をそんなにイライラしてらっしゃるのですか?」
「……別にイライラしてねぇし。……てか何であんなにニコニコしてたんだよ、らしくねぇな。タイプな奴でもいたか?」
車の中から賑わう商店街を見つめながらそんな事を聞いた。
「……蓮様はそんなにムスっとしてるから友達がいないのでは?」
「はぁ!?」
「話しかけられたら笑顔で接するのが普通です。そんな顔では相手も不快な気持ちになります。」
「……だったら俺にも普段から笑顔で話せよ。」
「蓮様は特別です。」
特別……?
どういう事だ?
その言葉に少し期待しながら話を聞いていた。
「さっきのは作り笑顔ですよ。」
「だろうな。すぐに分かった。」
「……今の所、本意で心から笑ったことあるのは蓮様と一緒の時だけです。」
「え……?」
俺にしか見せたことない……郁翔の笑顔……
だから特別?
「何で俺の前だけなんだよ?////」
『あなたの事が好きだからですよ』
そんな答えを期待しながらたずねた。
思わず顔が赤くなる。
「そうですね……あなたが……」
「俺が?」
「面白いからですかね。」
「……は?」
「本当に高校生なのかと疑ってしまいます。あまりにも子供すぎて……おかしく……」
笑いを我慢できないのか、クスクスと笑いながら話す。
この……執事……
絶対、俺の事主人として見てねぇな!
普通こんなに正直に言うものか?!
「……郁翔……お前な……」
「あ、申し訳ございません。怒りました?」
「ふんっ!」
俺は一生口聞いてやんねぇとそっぽを向いた。
「蓮様、そんなに怒らなくても……え、本気ですか?」
「……。」