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その先立ち入り禁止!【R18】

第5章 どうにでもなれ


郁翔side

返済済みってどういう事だ。
祖父と両親の分を合わせてあと3分の1くらい残ってるはず。
だからこの仕事を受け入れたのに。

「おい、餓鬼。それ以上喋るな。本気で殺すぞ。」

「嫌だね!」

蓮様が男の腕を噛みつき、力が緩んだ瞬間に逃げ出してきた。

「郁翔!よく聞け!お前の爺さんは借金なんてない!自分で返してるんだ!」

「え・・・じゃあ俺は何のために・・・」

「いってぇな!この餓鬼!!」

銃声が響き渡り、目の前の蓮様がその場に倒れた。

「っ!?」

「うっ・・・いって・・・」

しゃがみ、蓮様の体を見ると太もも辺りから血が流れ出ていた。

「くそ・・・余計な事言いやがって・・・まぁいい。郁翔、戻ってこい。」

「・・・嫌です。俺は戻りません。」

もうこれ以上、悪に手を染めたくはない。
これまで何人もの人を騙し、金を取った。

「もうお前には俺らの所しか居場所はねぇんだよ。今更裏切った西園寺家にも入れてもらえねぇだろ。・・・戻ってこい。じゃねぇと次は頭をぶち抜く。」

そうだ・・・家族もいない。
居場所なんて何処にも・・・

蓮様と過ごした日々が蘇ってくる。
あの頃に戻りたい。

「郁翔・・・逃げろ・・・早く。俺はいいから。」

「蓮様、置いていけません。」

「いいから逃げろ!どうせ俺はもう動けねぇ!アイツらの所に言っちゃダメだ!」

「蓮様・・・」

この人はどうしてここまで俺を・・・

「郁翔・・・頼む。行ってくれ。」

「・・・申し訳ございません、蓮様。」

「いい。早く置いて行け。」

「・・・俺には・・・できません。」

蓮様をお姫様抱っこし、室内を逃げ回り物陰に隠れた。
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