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その先立ち入り禁止!【R18】

第5章 どうにでもなれ


郁翔side

「・・・初めはそのつもりでした。ですが、私はこの仕事を放棄し逃げたんです。これ以上はあなた方を裏切りたくなかった。」

俺がお金を持っていくように来たのも、俺が途中で放棄したためだ。
借金の返財がまだ終わっていない。

西園寺家の大事なものはただ1人の息子。
そして、俺が好きになってしまったのも知ったのだろう。
だから、誘拐した。
同時に金も手に入る。

あいつらが西園寺家に何の恨みがあるかは分からない。
結局、西園寺家の弱みも握れなかった。
だからせめて金だけでもと思ったんだろう。

「・・・とりあえず警察に・・・」

「駄目です。そんなことしたらきっと蓮様は・・・」

「君にはもう用はない。蓮にも近づくな。」

「ですが!このまま警察に言えば蓮様の命が!」

「君はもう執事ではないんだ。赤の他人だ。時間切れまであと1時間も無い!どっちにしろ今からじゃ金は間に合わない!」

「待ってください!西園寺様!」

揉めあっていると、新しく入ったであろう執事が封筒を持ってきた。

「西園寺様、こんなものが送られてきました。」

中身はDVD。
近くにあったパソコンに入れ、確認してみる。

映し出されたのは映像。

『あと1時間です。早くしないと息子さん死にますよ。』

蓮様がひたすら痛めつけられている映像だった。
体と顔が血だらけでボロボロだ。

「っ!?蓮!!」

『それから、警察に連絡すれば・・・即殺します。急いでくださいね。』

蓮様が一生懸命何かを言おうとしてるのが見えた。

『かはっ・・・うぐ・・・いく・・・と・・・』

俺の名前を呼んでいた。

____来るな_____

確かに口がそう動いた。

映像がそこで終わり、暗くなった画面に自分の情けない姿が映る。
・・・好きな人が・・・あんな目にあっているのに・・・いいのか?
俺は逃げてもいいのか?

そんな事・・・出来ない。

蓮様は俺に幸せな時間をくれた。
逃げるなんてできない。

俺は家を飛び出し、例の場所へと向かった。

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