第5章 どうにでもなれ
蓮side
「父さん!」
実家に戻り、父さんの部屋に1番に駆け込んだ。
「蓮、帰ってたのか?」
「郁翔は今どこにいるの?!」
「あー郁翔君か。彼は連の執事を辞めると電話をして来たよ。何処にいるかは分からないな。」
「そんな・・・」
なんで俺に黙って出ていってんだよ。
挨拶くらいしろ。
「蓮・・・何かあったのか?」
「何も・・・なんで辞めたんだ?・・・」
理由が分からない。
せめて・・・俺の想いを伝えたかった。
「父さん、どうにかして郁翔の場所わからない?連絡先でもいい。」
「あ、連絡先なら・・・」
「分かるの?!教えて!」
それさえわかれば・・・
「いいけど・・・そっとしておいた方がいいんじゃないか?郁翔君も人間だ。彼なりの考えがあるんだ。」
そう言いながらも、父さんは連絡先を書いた紙を渡してきた。
「いいな。あまり深追いするな。」
「分かってる。」
その紙を握り締めその場を離れた。