第5章 どうにでもなれ
郁翔side
最近、ある所からの電話がしつこい。
「はい。」
「お、出た出た。どうだ?西園寺家は。」
「特に変わりはありません。」
「そうじゃなくて。弱点だよ。何か分かったか?」
「・・・はい。」
電話の相手は男。
「お前、裏切ったりしたら許さねぇからな。」
「分かってます。」
毎日かかってきていて嫌気がさし、しばらく無視をしていた。
それに、すでに蓮様の下は離れている。
蓮様の執事を辞めてまだ数日しか経っていない。
蓮様の事を愛した状態で側にいるのも辛く、電話の相手からの被害を受けないように執事を辞めた。
元々、俺が蓮様の下に来たのはある目的があったからだ。
初めは「こんな餓鬼の執事とか死んでも御免だ。」と思っていた。
それも今となっては恋愛感情を持つことになってしまった。
「郁翔ぉ!お前何着信拒否してんだよ!ちゃんと連絡・・・」
「執事は辞めました。俺はこの計画からも外れます。お世話になりました。」
「は?」
電話越しに話す。
「お前・・・ふざけんな!」
その言葉を無視して電話を切った。
蓮様、どうかお幸せに。
私はもう貴方のもとには戻りません。