第4章 あくまで執事として
蓮side
「郁翔、もう大丈夫だから戻っていいぞ。」
「いえ、私は蓮様の側におります。」
「そう・・・」
さっき、郁翔が助けてくれて本当に嬉しかった。
正直、怖くて動けなかった。
「郁翔、喉乾いたから何か持ってきてくんね?」
「承知しました。すぐに取って参ります。」
郁翔が頭を下げ、静かに出ていった。
俺がいる部屋は特別に用意されたもので、かなり豪華な感じだ。
ホテル一室くらいの大きさだ。
1人には大きすぎる。
このベッドも絶対1人用じゃ・・・
いや、これダブルベッドだ。
なんで?
てか、この部屋誰の部屋?
・・・嫌な予感がする。
ここから出よう。
そう思い、ベッドから立ち上がるとノック音が2度鳴った。
郁翔か?
早いな。
「はーい。」
「やぁ、蓮君。体調はどうかな?」
「え・・・あ、もう大丈夫です。」
犬塚さんだった。
「部屋は気に入ってくれたかな?」
「ここって犬塚さんの部屋ですか?」
「うん。そうだよ。」
「す、すみません!すぐに出ます!」
「あーいいよ。」
出ていこうと犬塚さんの横を通り過ぎると腕を掴まれた。
「そんなに避けないでよ。傷つくなー。」
「いえ、そんな訳では!」
「嘘つかないでいいよ。バレバレ。」
「っ!」
掴まれた腕がジンジンと脈打つ。
「・・・蓮君、覚えてる?・・・あの続き・・・しよっか。」
「え、いや・・・なんの事・・・でしょうか?(汗)」
「あれ、忘れちゃった?だったら思い出させてあげる。」