第1章 俺の執事
蓮side
「では、蓮様。いつもの時間に迎えに来ます。忘れ物はありませんか?」
車のドアを開けて俺の鞄を渡してくれる。
「ない。」
正直、学校の前で降ろすのはやめて欲しい。
しかも扉まで開けて鞄渡すとか……
周りの注目を浴びてるし。
「しっかり学んで来てくださいね。私はこれで失礼します。」
「おぉ……」
俺の通う学校はごく普通の高校。
だから、少し……いや、かなり俺は浮いた存在になっている。
周りからも距離を置かれ、現在友達なんていない。
……別に……友達なんていらない……
めんどくさいし……
いちいち顔を伺いながら接さなくちゃいけないし。
郁翔といる方が楽でいい。
「テストを返すぞー。」
やば……今日結果出るんだった……
また郁翔に馬鹿にされる。
大体、郁翔の頭が良すぎるんだ。
偏差値70以上あるとか聞いたし、英検漢検共に一級取得。
更には、スポーツ万能で柔道、剣道で全国大会も出たことあるとか。
料理も異常に美味い。
仕事も早い。
つまり完璧執事。
「西園寺ー」
「はい。」
俺の名前が呼ばれる。
「お前もう少し頑張れ。赤点ギリギリだぞ。」
「……はい。」
41点……
いやいや!
まだ社会だけだから!
俺の得意な数学がある!!
そう思っていたけど……
数学……60点……
その他にも国語は54点……理科に至っては化学、物理、生物全て赤点ギリギリ……
郁翔に間違いなく馬鹿にされる……
帰りたくない……