第3章 構って欲しいだけ
蓮side
「すっげぇ……これが蓮の家?」
「あぁ。」
賢人が家を見上げながら驚いている。
「蓮様、お帰りなさいませ。」
「ただいま。」
上を見上げていた賢人が郁翔に気づき近寄る。
「どうも、笹木賢人です。今日はお邪魔します。」
そう言って郁翔に手を差し出す。
それを見て郁翔も賢人に握手を返した。
「蓮様の執事の郁翔です。うちの坊っちゃんがお世話になっています。」
なんだその言い方……
うちのって……
しかも何か表情が暗い。
「……郁翔、お茶とお菓子用意して。俺の部屋にね。」
「かしこまりました。」
今日はいつもより執事っぽいな。
執事だけど。
賢人を部屋に案内した。
「本当にお坊ちゃまなんだな……すげぇ……」
「ま、まぁな……」
「郁翔さんもしっかりしてるし、かっこいいよな。何歳なんだ?」
あれ……何歳なんだろ……
よく考えたら知らねぇな。
「さぁ……俺より歳上なのは確実なんだけどな。」
「ふーん。」
ドアがノックされて郁翔の声が聞こえる。
「蓮様、お茶をご用意しました。」
「おー、入って。」
本当に、今日は素直だな……
主人としては嬉しいけど逆に調子狂うな……
いつも通りの方が好きだ。