第1章 帰郷
「そうかそうか、シカマルがそんなことをねぇ。あの面倒くさがりなアイツがねぇ…」
アスマは新しい玩具を見つけた子供のようにニヤリと笑うと
よし、と一つ頷いて、リエにこう提案してきた。
「今日夜から上忍何人かで飲み会やるんだが、お前も来ないか?シカマルも誘っておくからよ。あいつもお前に会えりゃきっと喜ぶ」
「飲み会って、居酒屋ですか?私もシカマルくんも未成年ですよ?」
「酒は飲ませないって。一応、お前らの”先生”だしな。今日来る奴らはお前も知っているはずだし、帰って来た顔見せついでに、どうだ?」
ニッと笑ってそこまで言われては断れるわけもない。
それにリエも、久しぶりにこの里の仲間達の顔が見たかった。
「わかりました。是非参加させてください」
「よ~し!決まり!じゃぁ七時頃に居酒屋“このは”に来てくれ。それじゃ、また後でな!」
アスマと別れ、歩き慣れた道を帰る。
ヒナタに返してもらった鍵を使い三年ぶりに我が家へと足を踏み入れると、懐かしい匂いがした。
埃っぽくはなっているが、何も変わっていない。
「……ただいま」
おかえり、と返してくれる人はいないけれど。
部屋の机の上に飾っていた写真の”彼”を指でなぞる。
けれど、その写真の裏に書かれている、彼からのメッセージを見ることはしなかった。
荷物を置き、簡単に部屋を掃除してからシャワーを浴びる。
サッパリした身体を拭き着替えると、溜まっていた疲れがリエを襲ってきた。
((……アスマ先生との約束の時間までまだ少しあるし、ちょっと休もう))
ベッドに身体を横たえると、すぐに眠気に見舞われた。