第1章 帰郷
アスマに半ば無理やり連れてこられたシカマルは、居酒屋の席に着きふてくされていた。
どうして上忍達のプライベートな集まりに、接点もほぼない中忍の自分が参加しなくてはならないのか、頭脳明晰なシカマルでも理解出来なかった。
それもそのはず、アスマがシカマルに言ったのは
「今日は絶対に参加しろ!お前のためにも、な!」
という一言だけ。
なんで、と問うても「来てからのお楽しみだ!」としか返してこない。
しかも会が始まって一時間早々で出来上がってしまっている上忍が、未成年の自分に無理に酒を飲ませようとするものだから、たまったものではない。
めんどくせー、と大きくため息をつきアスマを恨めしく思ったとき、居酒屋の扉が開いた。
「いやぁ、遅れてごめーんね」
遅刻魔と噂の、はたけカカシだ。
遅いぞーと文句が飛び交う中、何食わぬ顔で空いているアスマの隣に腰掛けた。
「あれー?シカマルじゃないどうしたの。未成年はお酒駄目よ」
「アスマが無理やり連れてきたんすよ。オレだって来たくて来たわけじゃ…」
「あ、そうなの。アスマもああ見えて強引なとこあるよねぇ」
「はぁ…そうっすね」
カカシとも任務で一緒になることもなく、特に接点があるわけでもないので、特別会話が続くこともない。
居心地がいいとは到底言えなかった。
もう帰ろうかとシカマルが思ったそのとき再び扉が開き、今度は女の子が息を切らして入ってきた。