第2章 鈴取り再戦
「土遁・土龍弾!」
泥の龍がリエに向けて泥弾を飛ばす。
「風遁・風切り!」
それに対し、リエは風で応戦する。
向かい来る泥の球は風の刃に切られ、泥でつくられた龍も真っ二つに切り刻まれた。
五大性質での土遁、風遁には優劣はそこまでない。
にも関わらずカカシの術をこうも簡単に破るリエのチャクラはカカシのそれと変わらないか、彼よりも強いということになる。
風に愛された娘。
風の力なら誰にも劣らないだろう。
「風遁・風塵の術!」
泥の龍が崩れてくるのと同時に、リエは術を発動させ、口から塵を混ぜた風を吹いた。
カカシの周囲が塵に包まれ、目が、写輪眼が使い物にならなくなる。
((これが狙いか…))
カカシほどの手慣れとなると、こういう状況は嫌というほど経験してきた。
クナイを取り出し、耳と気配で応戦する。
飛んできたのは、手裏剣だ。
しかも一枚ではない。
四方八方から飛んでくる飛び道具を処理していると視界が少しずつ開けてきた。
これで最後かーーー
そう思った直後、頭上に嫌な気配を感じる。
天を見上げると、塵に交じって見えたクナイの数々。
チャクラで操り待機させ、一斉に発射するその術いの名は
“操襲刃”
「っ!!」
慌てて飛び退き回避した、カカシのその行動さえも読んでいたのか、背後からリエがクナイを持ってカカシに襲い掛かっている。
しかしカカシも里一の忍といわれた男。
崩れた体勢にも関わらず、彼女の攻撃を受ける前に、リエに向かって蹴りをお見舞いしてみせた。
確実にヒットした。
……のだが。
シュン、と風の音と共にリエは消えた。
「影分身?!」
「…いえ、違います」
―――チリン
腰につけていた鈴の紐が、背後から切られた。
「風分身です」
鈴の音がリエの手の中で誇らしげに鳴っている。
この勝負、リエの勝ちだ。