第1章 帰郷
綱手に報告を終え火影室を出て歩いていたところ、書類を届けに来たのであろう猿飛アスマにバッタリ鉢合わせた。
立派な口ひげも、くわえタバコも、三年前と変わっていない。
「アスマ先生!お久しぶりです!」
「あ?……お前、リエか!?」
「はい。さっき帰って来て、綱手様に報告を終えたところなんです」
「そうかそうか!お疲れさん。しかし随分美人に成長したなぁ!……シカマルは見る目があったということか…さすがだな」
「え?シカマルくんが…なんですか?」
「…いや?なんでもない」
最後の方は小声であまりよく聞こえなかったのだが、アスマはそれ以上言おうとしなかったのでわからずじまいとなってしまい、リエは小さく首を傾げた。
上忍師アスマの部下である、奈良シカマル。
同期の中でいち早く中忍になったキレ者で、リエを影から見守っていてくれていた心優しい男だ。
「シカマルくんお元気ですか?シカマルくん私が里を出るとき、わざわざ朝早くから見送りに来てくれて…すごく嬉しかったんです」
「え、そうなのか?」
「はい。でも私あのとき態度がよくなかったと思うので、せっかく来てくれたシカマルくんに申し訳なく思ってて」
自分のことでいっぱいいっぱいだったあの頃の自分が恥ずかしい。
改めてきちんとお礼が言いたかった。