第1章 帰郷
「空風リエ、ただいま木ノ葉の里に帰還致しました」
火影の元に報告に行くと、綱手はリエの顔を見て満足そうに頷いた。
「ようやく吹っ切れたようだな」
「長いこと勝手をしまして、すみませんでした。明後日から任務に復帰させてください」
「明後日?なぜだ?」
「明日はヒナタとお茶する約束してきたんです」
全く本当に勝手な奴だな、とため息をつきながらも、綱手は笑っていた。
「ところで、外ではどう過ごしていたんだ?」
「基本的には、修行の日々でしたけれども。あてもなく色々な場所をまわって、たくさんの人達と出会いました。その中で親切な人達にお世話になったり…結果的に人助けもしたり。色々ですね。人々の優しさに触れて、人との繋がりの大切さを痛感した三年でした」
「…漠然とした回答だが、まぁいい。任務でないとはいえ、一応里外での出来事の報告書は出してもらうぞ。まぁ今日のところは帰ってよし!明日も私用で休むなら、今まで休んだ分明後日からコキ使ってやるから、今日はもう帰って寝てな」
「はい。ありがとうございます。失礼します」
リエが頭を下げて去った後、綱手は口角を上げ椅子にもたれ掛かった。
「いい顔していたな」
「ええ、本当に」
綱手も付き人のシズネも、顔を曇らせるようになってからのリエしか知らなかったのだ。
彼女の笑顔は初めて見たと言っても過言ではない。
里の皆がリエ、リエ、と言う理由が、わかったような気がした。