第1章 帰郷
「里出てから…どうしてたんだ?」
リエとカカシの会話を遮るつもりはなかったが、なんとなくシカマルは思ったことを口にした。
「うん、目的のない旅だったし、気の向くまま色んなところに行って来たよ。甘味処で住み込みのお手伝いしたりもしたし、成り行きで護衛みたいなこともやったし。たくさんの人に出会って、いいことも悪いことも直にこの目で見て、たくさんのことを学べた」
当たり障りのない答えだな、とシカマルは思ったが、
「外に出て、よけい思ったな。人って、独りで生きていくのはすごく、難しいことなんだって。強い精神と目標と…守りたいものがあるからこそ、強くなれるんだって」
そう言葉にするリエは、どこか少し寂しそうで。
彼女の憂いを帯びたその横顔を見ていると、シカマルはそれ以上踏み込んではいけないような気がして、そうか、と答えることしか出来なかった。
それから、アンコとガイがグダグダに酔っ払って暴れ出し飲み会がお開きになるまで、リエはシカマルとカカシから、この三年の間の木ノ葉の里の様子を聞いていた。
驚いたり嬉しがったりと、相槌を打ちながら楽しそうに聞いていたリエだが、自分のことはほとんど語ろうとしなかった。