第1章 帰郷
「医療忍術!わぁ、サクラちゃん頭もいいし、チャクラコントロールも上手いし、きっと素晴らしい医療忍者になるでしょうね」
「うん、綱手様も筋がいいと褒めているよ。まだ修行は必要みたいだけどね。綱手様の付き人もしているけど、今日はいなかったのか」
「はい。修行中だったのかもしれませんね。明日までは私お休みにしてもらってるので、明日サクラちゃんにも会って来たいと思います。ナルトくんは帰って来るまでお預けですね。会える日が楽しみです」
いつの間にかカカシにリエの話し相手を横取りされたシカマルは、胸中面白くなかった。
もちろん、顔や態度には出さないが。
「それにしても、今日のメンバーは本当に私が知っている方ばかりで、安心しました。皆さんお変わりないですね」
友達のシカマルに、カカシ、アスマ、紅、ガイの上忍師、そして団子好き仲間で中忍試験二次試験官長だったみたらしアンコと、本選で試験官をしていた不知火ゲンマ。
だいたいのメンバーがすでに酔い潰れていて、話はろくに出来そうにないが。
「リエは少し変わったな。ガイも言ってたけど、本当にすごい美人になった。俺としたことが、パッと見てリエだって気付けなかったよ。美人すぎてドキドキしちゃった」
にっこり笑ってカカシがそう言う。
カカシの嫌味ない口説き発言に、シカマルは思わず飲んでいたお茶を吹きそうになった。
「先生も相変わらずですね」
にこりと微笑んでそう返すリエに、相変わらずなのかよ、とシカマルは心の中でツッコミを入れる。
しかし、リエの笑顔が妙に懐かしかった。
それはカカシも同様、リエの眩しいほどの笑顔を最後に見たのはいつだっただろうか。
記憶に新しいのは、あの抜け殻のような彼女の、虚無の表情だから。