第10章 ONE MORE KISS
朝日が照らす泉から、美しい長髪を持った女性が上がってくる。
側の白い家屋に入ると、ベッドには黒髪の男が身体を横たえて休んでいた。
女はその傍らに腰掛け、男の横顔を愛おしそうに見つめると微笑み立ち上がる。
しかし、すぐに後ろに引き寄せられ、再びベッドに腰掛ける形になった。
「ヴィンセント、起きていたの?」
「今しがた目が覚めた」
ヴィンセントは彼女の体に手を回し、首筋にキスを落とす。そのまま手を太もも、腰、胸とあらゆる所に滑らせる。
「あっ……昨晩あんなにしたのに……」
「世界を救ったんだ……報酬があってもいいだろう?」
不敵に笑ってシャロンの身体をベッドに押し倒すと、愛おしそうに頬を撫でながら口付けを落とす。
「ん……ぁ……これが報酬になるの?」
「あぁ……女神に口付けなど、誰でもできるものではない……」
「女神じゃない……けど、これであなたが満足できるならいくらでも支払うわ」
シャロンがヴィンセントの唇に触れるだけのキスを返す。
ヴィンセントは少し驚いたような顔をしたが、すぐに微笑み息を漏らした。
「もう一度……」
「ん……」
何度か口付けるうちに、舌を絡め合う。
深く長い口づけに息も絶え絶えになりながら強くお互いを求めあった。
「まだ……足りない……。シャロン……君が側にいてくれる事を……もっと感じさせてくれ……」
口付けを首筋、肩と落としていき、服の肩紐を滑らせると胸の突起を舌で転ばせる。シャロンの身体はぴくりと反応し、腰を浮かせて悶えた。
「敏感だな……」
「や……は、ずかし……あっ」
「もっと……君の全てを……」
朝日が部屋を照らす。シャロンは恥ずかしがって小さく抵抗したが、ヴィンセントは愛撫をやめなかった。
ここには誰もいない。二人だけの場所だから。