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FFVII いばらの涙 綺麗譚

第1章 white eyes


 何かを思い出しかけていたが、続きを思い出すことは諦めて、ひとまず礼を述べた。

「たすけてくれて、あり、が、とう……」
「助ける? まぁ……結果的にはそうなったが……ふん。お前にはこんな下っぱを相手にするよりももっと愉快な計画を考えてやる……クク……」

訝しげに彼を見て、ふと自分の体の重みを思い出し視線を落とす。
生温い感触が伝う。見れば男の口から血液が溢れ肌を汚していた。

「いやああっ!」

シャロンの体から荊棘が伸び、男の体を引き剥がし自分の身を守る盾を作る。

「チッ、扉を開け放っていたせいでガスの濃度が薄まったか……。まぁいい、お前はそこでおとなしくしていろ。記憶はあとで消してやる。男の顔を見るたび暴れられてはかなわんからな」

以後、シャロンの部屋はガスの濃度を上げられ、監視員は防護服の着用が義務付けられた。
それでもこの部屋に忍びシャロンを手篭めにしようとする男は絶えなかった。
その度宝条が撃ち殺し、素体として持ち帰る。
監視カメラの映像は、離れた宝条の研究室からも確認できるため、すべての男は野望を果たせぬまま死んでいった。
そしてシャロンの恐怖心を薄れさせるため、直近の記憶を消去する実験を行い短期間の記憶を喪失させた。

 彼女は男性の顔に恐怖心を抱き、頭からつま先まで全身を覆う防護服に身を包んだ人間が近くにいないと安心できなくなり常に小窓から外の様子を伺っていた。そんなある日、マスクをかけずに近寄る男の赤い瞳に射抜かれ、彼女の日常は徐々に変化していくのであった——
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