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FFVII いばらの涙 綺麗譚

第8章 星の砂


 ヴァイスはネロを受け入れ、一体となった。それはオメガを宿した身体の滅びを意味する。うろたえる宝条を微塵も気にせず、ヴァイスはライフストリームに向かい歩いていく。
宝条は終わりを悟ると、開き直ったように笑い出した。

「クッ、ははははは! ならば、ヴィンセント・ヴァレンタイン。最後に一つ土産をやろう」

宝条がネットワークを操作し、炉の中央にある機械を稼働させる。
機械の上部からカプセル状の物が出て来ると、ライフストリームの上でカプセルの底が開く。
中から落ちて来たのは、ヴィンセントのよく知るある女性だった。
目を見開き固まるヴィンセントの様子を宝条は愉快そうに笑って見ていた。

「最後にヤツに調達させた清浄な人間が、まさかあの女とはな。つくづく、腐れ縁だよ! ははははは!」

吹っ切れたように笑い声を上げるが、ヴァイスがライフストリームに身を投げる瞬間、悔しそうに口を歪めた。
ライフストリームの光に当てられて、ヴァイスの肉体は消滅し、エンシェントマテリアも炉の下へと落ちていった。


勝利した、と思われた。
戦いを見守っていたユフィが、遠慮がちにやったね、と声をかけるが、ヴィンセントは眉間に皺を寄せたまま立ち尽くしていた。
頭の中で、女性の姿が何度もライフストリームに落ちていく。白い肌、艶やかな髪、間違いなく、彼女はシャロンだった。
そのままライフストリームを覗いていると、炉の底から緑色の光が噴火するように溢れ出し、ヴィンセントを取り込むようにその身にぶつかっていった。
ユフィはヴィンセントを気にかけるが、彼女自身は生身の人間でライフストリームに取り込まれれば生き残れる確率は低い。ユフィは、ヴィンセントならなんとかこの状況でも生き残れると信じこの場を脱出する事を優先した。


外では、零番魔晄炉から溢れ出すライフストリームに呼応するように各魔晄炉から緑の光が吹き出し、数珠繋ぎにした。全ての光が繋がり、上空に上がっていくと、巨大なウェポンが形を成していく。
オメガがついに完成されてしまった。

ライフストリームに飲み込まれたヴィンセントはオメガの影響を受けカオスを発現させていた。ウェポンを突き破り脱出するが、再びオメガに向かって突撃しても見えない障壁に阻まれ近付く事ができなかった。
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