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FFVII いばらの涙 綺麗譚

第5章 Storm


 視界に映る朱。

「こんなところで会えるなんて」

朱のロッソだった。
ヴィンセントは、オメガの知識を得たものの、彼らの目的がわからない。
ロッソはよく喋る人物であったため、いっそ直接訊ねることにした。

「お前らは、オメガをどうするつもりだ?」
「さあ? 私はそれほど興味がないから。でもね、ヴァイスがほしがってるの」

ヴァイスとは、ディープグランウドのトップの事らしかった。以前電波をジャックし世界の刈り取りを宣言したあの男だ。
ディープグランウドのものは皆、ヴァイスに絶対服従なのだそうだ。世界がどうなろうとも、ヴァイスが欲すればディープグラウンドのソルジャーはすべてをかけてオメガを与えるのだという。

「でも……そんなことは抜きにして、人類皆殺しだなんて楽しそうな事、断るわけないわよなぇ」

ロッソは恍惚としながら皆殺しが悲願なのだと語る。
彼女は人を殺すために生まれてきた。何の自由もない地下で殺し合いをしながら生きてきた。3年前にディープグランウドの扉が開けられ彼女達は自由を得たが、やる事は変わらず殺し合いだった。
ツヴィエートの地位まで登り詰めたロッソにとって他のソルジャーを殺す事は容易かった。そして考えた。世界中の人間も殺せそうだと。

「あなたにもわかるでしょう?」
投げかけるロッソに
「分かりかねるな」とヴィンセントは銃口を向ける。

しかしロッソは応戦せず後ろへ飛び跳ね、ヴィンセントの前には機械仕掛けのモンスターが残された。
銃撃を繰り出す兵器を避けて破壊すれば新たに兵器が投入されきりがないため、広いエントランスへ移動しつつ破壊を繰り返していった。
何基倒したかという頃、背後からロッソがヴィンセントに襲いかかり、彼の左胸を抉る。

「ごめんねぇ、不意打ちしちゃったわ」

ヴィンセントは左胸に隠された白い球——エンシェントマテリアを引き抜かれ、その場に倒れ込む。その身体はカオスに変身しかけるが、すぐに元の姿に戻り彼は意識を失った。

「へぇ、これがないとまともに制御できないんだ。ふふ、でもこれで終わりにしてあげるわ」

ロッソがヴィンセントに留めを刺そうと身を屈めた時、麻のフードを被った少女が十字手裏剣を投げかける。
咄嗟に避けるロッソに追撃の閃光を浴びせ、怯んだ隙に少女はヴィンセントを連れ去っていった。
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