第5章 Storm
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青白い液体に満たされたポッドに浮かぶ艶やかな髪と白い肌。
人とそうではない何かの間にあるような危険な魅力を孕んだ女性。
彼女がこの装置に入れられるのは何度目だろうか。そもそも彼女には延命措置など必要ないのだが、これは保護する側にとっても彼女が目覚めた時に暴れ出したりした場合の保険でもある。
ルーファウスの命で、1日に何度かタークスの者が順に様子を見に来ていた。
「ツォンさん、彼女目覚めませんね。作り物のようにも見えますけど、一体何者なんでしょうか?」
「さてな。セフィロスが掘り出したであろうデータを見ても今ひとつ謎の多い人物だな」
「人……なんですよね。科学部門の哀れな犠牲者」
「油断は出来ないがな。目覚めた拍子に襲いかかって来るかもしれない」
「怖い事言わないでくださいよ」
ふと、部屋の扉がノックされ、男がサングラスを押し上げながら入ってくる。
「これから社長に訪問者があるそうだ」
「訪問者?」
「そこの女性のことでクラウドから連絡があったとか。主任とイリーナは裏を守れとのご命令です」
時は数時間前に遡る。
クラウドの携帯にリーブから着信が入った。
用件は、シャロンの奪還。彼女が神羅によって保護されていること、神羅の地下組織が独立しヴィンセントを狙っていることを話した。
「クラウド、この事はあなたにしか頼めません」
「なんであいつが神羅に……」
「経緯はわからないのです。私も以前ディープグラウンドについてルーファウスに聞きに行った際ぬいぐるみを介して目視したに過ぎません」
「とにかく行けばいいってことだな」
そして約束の時間がやってくる。
場所の指定はルーファウス側に従ったが、特に変わった所のない簡素な建物だった。クラウドがおもむろに扉を開けると、レノが挨拶がわりに武器を目の前に振り下ろす。クラウドはそれを手で弾き、室内に入った。
「ルーファウスに話がある」
「よく、シャロンの居場所がわかったな」
椅子に腰掛けたルーファウスが含みのある笑みでクラウドを一瞥した。
「無事なのか?」
「無事……何をもって無事と言えるかは定かではないが、身体は無事だぞ。会ってみるか?」
ルーファウスは意外にもすんなりとクラウドをシャロンのところへ案内した。クラウドは少しばかり戸惑ったが、ルーファウスの案内について別室へ移動する。
