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FFVII いばらの涙 綺麗譚

第4章 Asrun dream


 そしてシェルクはこう続けた。

「でも、自分が世界で一番不幸だなんて思っていません。ただ、いつか誰かが助けてくれるかもなんて、ありもしない希望をもってしまっただけ」
「ごめん……ごめんね……」

泣き崩れるシャルアにシェルクは武器を向ける。
しかしそれは、監視カメラを見て助けに来たらしいリーブに制止された。

「やめてください!」
「!? ……リーブ・トゥエスティ」
「あなたが、彼女の妹、シェルクさんですね」
「ちょうどいい、あなたもここで消去しましょう」

再び武器を構えるシェルクに構わずリーブは話しかけ続ける。
シャルアは、腕や目を失い、内臓のほとんどを人工物に変え、1日のほとんどを拒絶反応による苦痛で過ごし、それでもシェルクを助け出すまではと、その思いたけで生にしがみついてきたのだと。

「……くだらない。バカみたい」

再び電子サーベル状の武器を構えるシェルクを止めるため、リーブは天井にあるスプリンクラーを撃ち彼女の武器をショートさせる。
シャルアを安全な場所へ避難させ、リーブはヴィンセントに麻酔銃を託すと、彼は与えられた任務を遂行しシェルクを麻酔銃で眠らせるのだった。

だがまだ戦闘は終わってはいない。WRO隊員が苦戦を強いられていたツヴィエートはシェルクではなかった。蒼きアスールという、巨体の男。ヴィンセントは彼とはカームでも邂逅していたのだが、まともに戦闘していないためその力量は未知数だった。
鎧のように守りの硬いアスールに爆撃をしかけ辛くも勝利する。アスールは「まだ終わりではない」と言い残しその場に倒れた。
一先ず本部の安全が確保できたように思えた。


 ヴィンセントは、休む間もなく、悶々とした気持ちを晴らすように歩き出していた。本部の外へ出ようという所でリーブに引き止められる。

「どこへ?」
「ニブルヘイムへ向かう」
「神羅屋敷ですね? 確かに、あそこなら……。わかりました。ただ現在、ニブルヘイム付近にもディープグランウドソルジャーが展開しています。神羅屋敷へ入るなら、旧魔晄炉付近から延びる下水を使うとよいでしょう」
「下水か……。どうやら私は地下に縁があるらしいな」

ヴィンセントは軽い挨拶を交わし因縁深い彼の地へと向かった。
ヴィンセントを見送ると、残されたリーブはまた別の案件に着手するのであった。
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