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FFVII いばらの涙 綺麗譚

第4章 Asrun dream


 戦闘能力が上がる一方で、制御が効かない。
カオスの暴走を許し強い衝撃波を放つと、ロッソは戦闘を離脱するが、ヴィンセントはその場に倒れ込んでしまった。

 彼は夢を見る。それは走馬灯のように昔の記憶を呼び起こす。
宝条に詰め寄り撃たれて死ぬ夢、青い回復ポッドの中から白衣の女性を見つめる夢。

 ヴィンセントが目を覚ますと、そこは青い液体に充たされた回復ポッドの中だった。視界の隅に白衣が映る。

「気がついたか!」

声をかけたのはエッジで出会ったシャルアだった。
困惑したように辺りを見渡すヴィンセントにシャルアは急いでポッドを開けてやる。
液体が排出されポッドが開くと、ヴィンセントは水を滴らせながら降り立った。

「いったい?」
「ここはWRO本部の研究室だ。キミはエッジでツヴィエートと戦闘後、倒れていたところを私に保護された。おそらくキミの身体に宿ると言う生命体因子が暴走したと考えるが……よくあることなのか?」
「暴走……カオスが?」
「カオス? カオス生命体の因子を持っているのか?」

シャルアは驚いた様子で頭でパーツを組み立てていく。

「そうか……キミとルクレツィア博士は浅からぬ因縁があると聞くしな。キミは彼女の研究成果なのか?」
「研究? ルクレツィアの……?」

ヴィンセントが目を見開いて聞き返すと、シャルアは焦ったように手を上下させながらウロウロと歩き回る。

「いや、すまん。言い方が悪かったな……」
「違う、カオスは……ルクレツィアの……研究?」
「まさか……知らなかったのか?」

ヴィンセントが棺桶で長い眠りについている間、神羅の研究室のデータもある程度整理されていたようで、シャルアはコンピュータのデータベースからルクレツィアのデータを表示させ、ヴィンセントにルクレツィアの研究を紹介した。

「彼女の論文の一つ、≪星の循環≫
 その中で、彼女が定義していた異生体のひとつが、カオス生命体だ。しかし内容があまりに特異だったため、神羅内でも、相手にされていなかった」
「その論文、読めるのか?」
「ダメだな。ものが古い上にマイナーすぎる。データベース化もされていない。私も以前神羅の資料室で断片を見ただけだ」

落胆を覚えつつシャルアの記憶力に感心していると、部屋へ訪問者があった。

「ヴィンセント!? もう起きて大丈夫なのですか?」
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