第4章 Asrun dream
突如として現れた新たな敵をかわしつつなんとかリーブとの合流を果たす。
今彼は慈善団体、世界再生機構≪WRO≫の局長を務めており、その軍事力とヴィンセントの活躍で一先ずカームの街の安全を確保できた。しかしようやく再会したリーブはまだどこか忙しなかった。
が、ヴィンセントはそれはどうでも良い事と言わんばかりに口を開く。
「リーブ、シャロンの件だが……」
「その事ですが、状況が変わりました。ヴィンセント、もう少し手伝ってください。エッジも襲われています」
「リーブ……」
「急がなくては。詳細は移動の車内でお話しましょう」
ヴィンセントは気が気でない思いがしつつ、カームの状況を見て放ってはおけないというのもありエッジ行きを承諾した。
舗装されていない道を大型車で走り抜けていくのは決して座り心地が良いものではない。落ち着いて話せるわけではないが、現状を共有するには十分な時間が取れた。
突然襲いかかる新たな敵。それらは一体何者なのか。リーブの調べによると、この一連の事件の真相は神羅の葬られた闇、ディープグラウンドの扉が開いたことがきっかけとなっているということだ。
ディープグラウンドとは、倫理を無視し人がどこまで強くなれるかを追求した組織。そしてこの存在を知っていたのは、プレジデント、ハイデッカー、スカーレット、宝条くらいであろうという。
「社長交代のゴタゴタもあり、あのルーファウスですらその存在を知らされていなかったようです。今お話しした情報も、スカーレットの残した記録からつい先日判明したばかりです」
ヴィンセントは相槌のかわりに気怠げなため息をついた。
敵の正体は想定できたとして、何のために人を襲っているのか? 目的もわからないままだ。
「それからルーファウスにこれらの情報を確認した際気付いた事ですが、シャロンはおそらくルーファウスに保護されています」
「なぜそれを早く言わない」
「いえ、おそらく……」
リーブが言いかけたところで、唐突にWRO隊員からの無線が入る。何者かが電波を妨害し、全周波で放送を開始したというのだ。備え付けのモニターを起動し、画面を確認する。
青く映ったスクリーンに、筋骨隆々とした銀髪の男。彼はこう宣言した。
『これより、世界の刈り取りを行う——』