第4章 Asrun dream
かつての仲間たちと共に、街を破壊する大型の召喚獣を仕留めた後、クラウドはリユニオンを果たしたカダージュ——否、セフィロスとの戦闘へ向かった。
ヴィンセントは、その戦いを見守っていた。クラウドのその後を見届けるためでもあり、セフィロスの動向からシャロンへ繋がる足掛かりが見つかるかもしれないという小さな期待もあった。
だが、セフィロスはクラウドとの真剣勝負を経た後再び闇に散った。
カダージュは哀れな思念体としての役目を果たし、星に還る。
最後にヤズー、ロッズと差し違え、クラウドまでも爆風の中行方をくらました。
後味の悪い終わりを迎え、ヴィンセントがその後何の手掛かりも見つけられないままでいると、戦いの後"とりあえず"購入した電話機に1本の着信が入った。
スラムの教会へ来いとティファからの着信だった。
教会へ着くと、そこにはティファ達と街の子供達に囲まれるクラウドの姿があった。
戦いの後、彼はこのスラムの教会にたどり着いていたらしい。
この教会に貯まった癒しの水には不思議な力があった。まるでエアリスのいのりが加護を与えるように、その水は彼の星痕を消し去ってくれていた。
クラウドに促され街の子供達もその水で身体を清めると、身体を蝕む星痕症候群は綺麗になくなっていった。子供達に笑顔が戻る。
「よかった。ボーンビレッジの泉に入った時みたいにおかしくなるんじゃないかって少し心配した」
「ボーンビレッジ?」
ティファが問うと、栗毛の少年が頷く。
「クラウドが戦ってたあいつが俺たちを連れ去って、そこの水を飲むように指示してきたんだ。口に入れた瞬間力が漲ってきて、そこからは記憶が曖昧なんだよな」
「デンゼル、その泉ってどこにあるの?」
「ボーンビレッジの奥ってことしかわからない。女の人の像が沈んでた」
それまで黙って様子を見守っていたヴィンセントがデンゼルと呼ばれた少年に歩み寄り、腰を折る。
「それはクラウドがお前達を迎えに行った時のあの泉か?」
「ああ」
「そうか、ありがとう。……クラウド、私は先に退散するぞ」
「ん? あぁ。何かあれば連絡しろよ」
電話のジェスチャーにぎこちなく応答する。
購入したばかりのそれを使いこなすにはまだ時間がかかりそうだった。