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FFVII いばらの涙 綺麗譚

第3章 IN FLAMES


 森の中は詳しい。ヴィンセントはアジトから離れた場所にクラウドを座らせ彼の問いかけを待った。
クラウドは呼吸を置きこれまでの経緯を確認するため質問をぶつけ、ヴィンセントはそれに答えた。

「カダージュ……何者だ?」
「ふん……考えたくもない」

星痕症候群の事、神羅がジェノバの首を手に入れた事、そんな情報は簡単に教えてくれたのに、カダージュに関して聞いた途端彼は言葉を濁した。

「セフィロスを作り出すって……」
「……」

ヴィンセントは、セフィロスに対しやや複雑な感情を抱いていた。
彼女は彼と共に消えてしまったのだから。

「ジェノバがカダージュの手に渡ったら……そういう事か」
「どうする?」
「俺は……」

少し考えるように視線をそらすと、木々の影から少女の姿が現れた。

「マリン!」
「クラウド! デンゼルが! ティファが!」
「ティファなら大丈夫だ」
「ティファと話したい!」

クラウドは携帯を渡そうとしたが、あいにく紛失していた。
マリンがヴィンセントに問う。

「持ってる?」

少女の期待の視線を浴び、ヴィンセントはマントを広げてみせた。

「信じられない!」

非難を浴びた彼は寂しくマントを下ろす。
携帯を持たない事に拘りがある訳では無いが、持たない事でこういった時に少女の願いも叶えてやれない自分に少しがっかりした。
離れている相手といつでも会話が可能という利便性は理解できないわけではない。扱えればの話だが……。
クラウドとのやり取りが続く。

「ヴィンセント、マリンを店まで送ってくれないか? 俺は神羅の連中の話を聞きに行く」
「賛成しかねる」
「でも……」

逃げるようなクラウドの無責任さがマリンの心を傷付ける。
マリンはクラウドから離れ、ヴィンセントに駆け寄った。
ヴィンセントはマントを広げてマリンを中に隠してやる。

「クラウドはもういい! どうして私たちの話は聞いてくれないの?」
「マリン、もう少し待ってくれ。これから戦いが始まるはずだ。でも、ただ戦えばいいってわけじゃない。わかるよな?」
「わかりません!」

他者に対する洞察力に優れたヴィンセントにはマリンが不安がっていることはすぐにわかった。そしてクラウドの甲斐性の無さに少し呆れていた。

「クラウド……これは戦いの話か?」
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