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FFVII いばらの涙 綺麗譚

第2章 NINE SPIRAL


 俺は彼女が答えを求めている気がして手に力を込め握り返した。
シャロンが驚いて俺を見る。
すぐにその瞳に涙が溜まっていくのがわかる。

「セフィロス……今はあなたを守る。それがわたしの役目よね」

握っていない方の手がかすかに動くのを感じ、咄嗟に声をかける。

「おい、それより今はこの場を切り抜けるのが先決じゃないか? お前がどの程度強いのか知らないが、一人でこの人数を相手にできるとでも?」
「わからない……けど、このままじゃまた二の舞になるわ」

シャロンの背中から無数の荊棘が飛び出し、兵士達の銃を弾き飛ばしていく。
まずい。
視界の隅にスカーレットが連れてきた兵士が見える。
宝条付きの兵士よりも手練れだ。

「焦りすぎだ!」

シャロンの腕を引き後ろに転ばせると前に体を乗り出し、シャロンを背に隠す。

「なんのつもりだ? セフィロス」

宝条がにやりと笑み、俺に諭すような目つきで語りかけてくる。

「私たちの邪魔をしないでもらえるかね? 私はこの女に散々痛い目を見せられてきたのだ……。危険なのだよ」
「お前の事情など知らん。だが、この女の処遇は俺に任せてもらう」
「そんな要求が通るとでも?」
「通る。……スカーレット。お前が狙っている新規魔晄炉の調査、俺が引き受けてやる。魔晄の影響を受けない俺なら三日で済む。そうなれば決算前に新兵器開発へ着手できる。悪くない話だろう? そして俺は報酬として、この女をもらう」

兵器としてどちらを優先させるべきかは目に見えている。
未知数のこの女と、確実なエネルギーを抽出できる魔晄炉。

「乗ったわ」
「クク……だそうだ。よかったな」
「ただし、確実に三日でこなすのよ」
「造作もない」

ひとまずこの場を取り成した俺は安堵してシャロンの顔を見る。
シャロンは驚いたような顔で俺をじっと見つめていた。

「……あなた……もう、兵士として戦っているの?」

お前は喜ぶと思ったが、見当違いだった。
悲哀を帯びた瞳に俺の胸にも小さな悲壮感が宿る。

「俺は、特別だからな」

理解してくれなくてもいい。
忘れかけていた。
俺の居場所は、戦場にある。
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