第2章 NINE SPIRAL
セフィロスは、星の中心部で生命の流れる川に身を任せていた。
星で起こった数多の記憶を無視し、自身の忘れ難い思い出を懐かしんだ。
——古い記憶を思い出した。まだ俺が幼く、弱かった頃の話だ。
「ぼうや、こっちへおいで」
一人遊びをしていた俺に、目深に被ったフード付きマントから除く白い肌と色づいた唇が話しかける。木陰にいても目立つその容姿はあまりに美しく、外の世界を知らない少年の胸に鮮烈な印象を与えた。
彼女は名をシャロンといった。
彼女が木陰から日向に歩みを進めると、それを凝視する俺の姿に気付いた兵が彼女を不審人物として射撃した。
その後シャロンは俺を拐おうとした償いという名目でひどい実験を強いられていた。
最初は至極どうでもいいと思った。
拷問はただの日常だったから。
しかし、俺を呼ぶ声と、か細い声を発する唇——
気づけば俺はシャロンのいる研究棟へ足を運んでいた。
そこで目にしたのは、乱雑に衣服を乱され、男たちに蹂躙される彼女の姿だった。
「やめ……あっ! 嫌」
「そうは言っても、ココは勃ってきてるぞ……」
「ほら、挿れてやるから口で大きくしろ」
俺は目をそらし姿を隠したが、その場を離れることが出来なかった。
「んんん! いやっ!」
「いいから咥えろ!」
男の荒ぶる声と女を殴る鈍い音が聞こえる。
心臓がこれまでにないほど早く鼓動を打ち鳴らしていた。
「……お願い! ああっ、やめて……助けて……誰か!」
彼女の助けを求める声を聞いた俺は、太腿に装備したナイフと金属片を手に部屋へ飛び込み
初めて人を殺した。