ここはシリーズif短編【HUNTER×HUNTER】
第6章 DNH企画 私とターゲット
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「本日からお世話に成ります。沙夜子と申します。」
私はいよいよターゲットに対面した
正直緊張で吐きそうだが平静を装い顔を上げて息を飲む
「挨拶は良い、君の事は聞いてる。早速仕事に取り掛かって。」
まるで感情の無い声色
大きく印象的な瞳は全てを見透かしてしまいそうな眼差しを向け
スラリと高い鼻筋、薄い唇から言葉が発せられている事に不思議な感覚が襲った
恐ろしい程に整った顔立ち
黒く艶やかな長髪
ピシリと完璧に着こなされたスーツは高価な物なのだろうと見ただけで解った
ドキドキと早い鼓動は緊張からか、はたまた…………
「………あの………私……何をすれば良いんでしょうか………?」
私の問いに優雅な所作で鬱陶しそうに髪をかき上げた男は凛として冷たい独特の雰囲気を放ちながら私を真っ直ぐに射抜くと
「聞いてないの?俺の身の回りの雑務だよ。取り敢えずコーヒーお願い。」
単調に言葉を紡いだ
「…………はい!」
一瞬ぼーっと見惚れてしまっていたが即座に脳が切り替わる
…………雑務……………この分だと思いの外早く仕事は終わるかもしれない………!
コーヒーを入れるなんて好都合だ
社長室に併設された無駄に広い給湯室でマグカップにコーヒーを注げば後はポケットに忍ばせた毒を…………
緊張の面持ちでポケットに手を入れたその時だった
「言い忘れてたけど俺ブラックだから。」
「ッ!!!社長!!!」
音も気配も無く背後から声を掛けられ思い切り飛び上がってしまった